噛み合わせ 顎の矯正 セミナー 清流塾

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顔を育てるということ
診断の重要性
顔を育てるということ
  • 一般に矯正治療というと歯牙歯列の不正を思い浮かべるようだが、実際には呼吸の不都合とともに生じる、身体と上下顎骨の成長不良や片寄り、捻れが原因となって、多くの不正咬合という結果が生じている。この身体も含めた不正成長・歪み・呼吸の問題を解決しなければ、矯正治療の成功は望めずに、保定装置を装着し続けることとなってしまう。いくら歯をきれいに並べても、原因が治療除去されなければ、その歯はいずれまた動いて、ガタガタになってくるものだ。このことを理解せずに方法論に走ることは大変危険である。

    従来のマルチブラケットによる歯列矯正は骨内での歯牙移動を基本とした治療法で、個々の歯牙をワイヤーで繋ぐという必要があった。だがそれ自体が制限・制約であった。左右をワイヤーで繋ぐ事の再検討が必要と考える。

    本来しっかり噛めて咬合圧と舌圧がかかるようになれば、上顎骨自体が拡大と移動・傾斜によって、より力学的に安定する構造へと発育変化していくものである。
    上顎骨は下顎骨の咬合力を受けているのだから、日常的に間歇的圧力による刺激を受けて、ごくわずかではあるが動いている。この動きの中心部は正中縫合部と言うことになる。さらにこの運動は、関節を通して周囲骨に刺激を伝達(骨弾道)している。また、その運動は頭蓋骨の生理的な動きとも関係して、クラニアルモーションに繋がって行く。

    もう一つ注意したい点として舌の問題がある。
    歯牙は本来、口腔内のデンチャースペース・ニュートラルゾーンに萌出排列するはずだ。が、舌が口蓋を支える様に働かず、内側に収まらないで下方に落ちると、上顎の臼歯部は頬筋の圧力を、前歯部では口唇圧を過大な力として受けるようになる。これが歯列の狭窄や叢生を引き起こす。“舌を挟む”癖のある人では、舌が下顎歯牙の咬合面上に乗ってしまうので、その部の歯牙の圧下とともに他部位の挺出をまねき、咬合の不正に拍車がかかってしまう。
    舌を引き込む癖でも歯列の狭窄が起こる。この際には下顎も同様に引き込まれるが、構造的に弱い側あるいは習癖のある側へと偏位を伴うことがしばしばだ。

    これら機能に関わる事は1990年代初頭まではさほど注目されて来なかったが、機能と形態は車の両輪であり、機能を無視する事は出来ない。だからこそ、この21世紀では機能が注目され、MRCのアクティビティーやMFTがいわれるようになってきた。

    しかし、発育不良となった顎骨をアクティビティーやMFT指導で改善していくにはどうしても限界が見られる。だからこそ、顔面骨格の不正が顕著になる前に、早期に発育の方向性を改善していくことで、治療に来る子ども達がその機能を十分に発揮して、本来の姿になれるようにお手伝いし誘導するのだ。その必要性がますます明らかとなってきている。

    顎顔面の育成は舌やお口周囲、頭頸部の機能が十分に発揮できるようにすること。それと合わせて姿勢を改善し、顔が育つことで上下の歯牙は無理なく並んでいくのだ。
          (2019.06.21記。  改訂:2021.12.25)

Orthotropicsにおける診断の重要性
  • 一般歯科の先生が矯正治療を始めるに当たって、どうしても疎かになりやすいのが診断のようである。術前の模型やX線写真、顔貌写真が無いなどは論外である。なんとなく「歯が並べば」くらいの考えなら、手を付けないで欲しい。ましてOrthotropicsは顔貌の改善が目的である。原因療法に一番近いと言われる治療哲学であるので、どこに課題があるかの診断はとても重要である。
    BIOBLOC療法の適応症を判断する上で、顔貌の評価やPostureの異常把握はとても重要である。この点について、従来の歯列矯正とは大きくその考えを異にするものであり、しっかりと理解していただきたいところである。

  • ― 適応症についての概要

    上顎骨の成長は、永久歯の萌出に合わせて5歳頃から活発な時期となる。一般に不正咬合は、永久前歯が萌出し始めて、空隙不足が明らかとなってから問題とされる傾向にある。拡大に適した時期を考えるならば、7~8歳までが妥当であろう。これより後では、次の側方歯の交換も視野に入れて、全体を仕上げるよう計画すべきである。
    軽度な症例で、第二乳臼歯が十分に堅固であれば、混合歯列期の後半で遅くなっても拡大治療は可能である。しかし、シビアな症例や反対咬合においては、乳歯列期の間に拡大治療を行っておくのが望ましい。
    既に側方歯の交換が始まっている場合は、第一小臼歯の萌出を待って、十分なアンカレッジを得てから、拡大治療を行うのがよいだろう。ただ、顔貌の改善を図りつつ、永久歯列の完成まで治療管理する必要があり、経験を積んでからが望ましい。

  • ― 診査と診断

    ほとんどの不正咬合を観察するに、明らかな中顔面の発育不足を認める。現実社会では遊びの質も変化し身体を使うことが少ないため、すでに多くの人が不正咬合と顎顔面の発育異常に罹っており、歯牙の排列位置自体がずれていると推測される。そのため、ずれた顎骨内の歯牙を数値にとらわれての比較検討では、正しい評価には繋がらないと考えられる。対するOrthotropics Philosophyでは顔貌の改善が目標であり、頭蓋顔面における顎骨や軟組織の観察評価というものがきわめて重要である。
    体表からの観察と合わせてX線写真を分析し治療方針を決定する。個々のセファロ分析法はそれぞれの開発者の考えが詰まっているもの。それらを総合して治療に繋げていく責任が我々にはある。

    一般歯科のクリニックにはセファロの撮影が出来ないところも多く、セファロ分析自体になじみの無い先生もいるだろう。それでも網羅的に撮影するパントモX線装置はあるはずだ。そこで、ただ漫然とパントモX線写真を見るのでなく、ぜひ読影をやって欲しい! 
    これから成長して永久歯列になっていくのに十分な顎骨があるのか? 拡大育成するとしてどの程度の拡大量が必要となるのか? どうか調べて成長発育の観点から十分に検討を加えて頂きたい。

  • ― 治療方針

    個々の患者に対し、どのような治療を計画実践するかは、担当する医師個々の臨床経験に照らして、慎重に判断しなくてはならない。軟組織の機能をいかに調和させ、歯列の安定に導くか、患者やその家族の抱く容貌上の期待値と、患者自身の協力度や術者の技術上の限界との摺り合わせが必要である。
    たとえ、患者自身の顔が本来の成長を回復したとしても、明らかな叢生や前突感が残ったとしたならば、患者によってはそれなりの不満を持つこともあるだろう。しかし、早期に治療着手でき、併せて正しいオーラルポスチャーの獲得がされると、治療後の経過観察中にもよい方向への変化が続き、おおむね良好な歯列咬合が達成されるようである。
    上顎前突ではあっても中顔面の後退のみられる症例もよくあり、成長のため前方牽引が求められる。中顔面の落下がある症例では牽引の方向にも注意を払いたい。
    問題となるのは、頭蓋が小さいにもかかわらず、明らかに歯牙サイズが大きい場合である。歯列の奥行きにゆとりがなく、拡大治療だけでは整った歯列の獲得が困難である。逆に歯牙サイズが小さいのであれば、叢生等の問題は骨の拡大誘導のあいだに解消されていくだろう。
    Orthotropicsは顔貌、ポスチャーの改善が目的であり、非抜歯のための治療体系ではない。歯牙サイズが大きめで、口呼吸や舌位のポスチャーに問題が残るような症例では、非抜歯に固執することでかえって困難な状況に至ることもあると言うことを承知しておいてもらいたい。
    たしかにOrthotropicsでは、小臼歯非抜歯治療の可能性が高まることは事実である。だがこれは、顔貌の改善をめざして、オーラルポスチャーを低年齢の間に改善したことによる、種々の適切な機能的刺激や、今まで発現が抑制されていた成長パターンが解放された、あくまで『結果』である。

  • 1)顔面写真および口腔内

    a)正面
    b)側方…注意すべきは顔面平面に目を奪われると頭位を見誤り、上下顎の引き込み・落下についての正しい判断ができなくなることである。
    c)前額部…顔面頭蓋の中では比較的安定した部位であり、重ね合わせに適している。これは頭位の前後屈を見る際にも有効である。
    d)Cheek Line
    e)Indicator LineはOrthotropicsにおいて特に重要な計測である。
    f)U6口蓋側幅径

  • 2)姿勢写真

    来院される患者の頭蓋の変形を調べて見ると、かなりの頻度で側頭骨の歪み・ズレを認め、時として頭蓋冠の変形を見る。また、後頭骨下縁のレベルを触診してみても変形を認めることがある。

    今では筋筋膜の連続的な構造が認知されるようになり、『アナトミートレイン』という言葉も一般的となった。かつて概念であった「キネマティックチェーン」が、現実の構造体として注目を浴びている。
    それは歯科で扱うお口とその周囲組織とも、もちろん繋がっている。人体はテンセグリティ構造とも言われていて、身体の下半身の問題が、上半身から頭部にまで波及する。顎骨に影響しない保証などない。

インディケーターラインとルーラー
  • 垂直的な成長の早期診断のため Indicator Line を使おう!

    普段から口元が4mm以上も離れている子ども達には、どの子も顔にダメージの徴候がいろいろな程度で認められる。また同様に、始終上下の歯の間に舌を挟んでいたり、舌を突き出すように歯に当てながら嚥下したりしている子にもいくつかの顔貌の特徴が見られる。
    舌、唇、歯牙の間の相互関係で決まるI級、Ⅱ級、あるいはⅢ級不正咬合における垂直的な成長の増加・下方へのズレはもはや明白であろう。

  • 以下に顔貌の大方の特徴を示すと、
    ・上顎骨頬骨突起部の平坦化 ・鼻の大型化
    ・鉤鼻
    ・厚い上唇及び/あるいは下唇
    ・頬筋の意味のない肥厚
    ・前額部の傾斜、
    ・目の外眼角の下がり ・下顔面高の増加。 etc.

    徴候は特定の姿勢要因(身体的、口腔的)によるが、くちびるが8mm以上離れて、いつもポカンとしているようなら、さらにはっきりするだろう。

  • 早期診断が重要となる

    通常の床矯正装置だけでは8~9歳以降の、重度の患者を治療修正することはできない。エクササイズに頼るトレーナー治療も同様だ。
    FGマルチルーラーを使い『インディケーターライン(IL)』を計測することで、簡単な診査をすることができる。
                    (上の写真は『FGマルチルーラー』を示す)
    これは、鼻の先から上顎前歯切縁まで測って、5歳の時に28mmを示し、1年毎に1mmずつ増加し、思春期少女では36mmに、少年では38mmになる。これに不正咬合がある場合、ほとんどの子どもがこれより数mm長い傾向を示す。これは『IL=年齢+23』(女子で+21)とされるが、日本人では2mmほど長くなるようである。

  • Indicator Lineの測定
    切り立った様な平坦な顔(赤)と水平成長の顔貌(黒)

  • 上顎骨が下方成長/変化すると、頬部も下方変化し平坦化するとともに、鼻軟骨が下方に引かれる。前頭骨と接続する鼻骨はその位置を保つので、軟骨との移行部分がDumpを形作る。

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